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第12話 その腹黒令嬢、本当に擬態ですか?

ผู้เขียน: 古芭白あきら
last update วันที่เผยแพร่: 2026-06-29 16:30:50

「お待たせして申し訳ございません」

エーリックの教室にウェルシェがひょこっと顔を出した。

「先生から頼まれて、資料を職員室へ届けに行っていたものですから」

「いや、そんなに待ってないよ」

さあ行こうかとエーリックが手を差し出すと、ウェルシェは嬉しそうに自分の手を重ねた。

そんな一幕に令嬢達は「まぁ!」と微笑ましそうな目を向け、ウェルシェを狙っていた一部の令息達はちっと軽く舌打ちする。

ここ最近の『お約束』みたいなものだ。

仲睦まじく手を繋ぐと、二人は学生食堂カフェテラスへと向かって歩いていく。すれ違うたびに、生徒がチラチラと覗き見るような視線を向けた。当然、ウェルシェはそれに気がついている。

「どうやら作戦は成功のようですわね」

「これで僕らの仲を疑う者もいなくなるかな?」

ウェルシェがどれだけ婚約者がいると訴えても、言い寄る男が後を絶たなかった。最初に断り諦めた者達まで同調して、むしろ最近は不埒者の数が増殖の一途いっとである。

「エーリック様にご忠告いただいていたのに申し訳ございません。私が甘かったですわ」

ウェルシェが1人になると、途端に誰かしら男子生徒が声を掛けて来るのだ。中にはキャロルや他の令嬢達を無視してウェルシェを口説きにかかるとんでもない不届き者までいる。

「まさかアプローチをかけてくる殿方が、こんなに多いなんて思いもしませんでした」

これにはウェルシェも閉口した。

そこで、今までキャロル達と過ごしていたランチタイムをエーリックと共にして男達を牽制する事にしたのである。

「婚約者のいる身だと何度も申し上げておりますのに」

「それだけウェルシェが魅力的なのさ」

「私が思っている以上にグロラッハ家には魅力があるのですね」

「……ウェルシェはもうちょっと自分の魅力を理解した方がいいよ」

ウェルシェのズレた返答にエーリックは不安を覚えた。

「彼らが執着する理由は誰よりもウェルシェが美人だからだよ」

「もう! エーリック様ったらお世辞ばっかり」

顔を赤らめ熱くなった頬を両手で隠すウェルシェ。もはや息を吸うように出るウェルシェの嬉し恥ずかしテレテレポーズに、エーリックのみならず周りの男共も鼻の下が伸びまくりだ。

ウェルシェはエーリックを狙い撃ちしているだけなのだが、流れ弾が数多あまたの男達にクリーンヒットしている。ウェルシェに男が群がる原因の一つなのだが、彼女にはそこがピンときていない。

「お世辞なもんか。ウェルシェが1番だよ!」

必死に心情を吐露とろするエーリックに何故か周囲の生徒達もうんうん頷いている。

「そんなはずありませんわ……だって私よりイーリヤ様の方がずっと美人ですもの」

「彼女は美人だけど、美人なんだけど、違うんだ、そうじゃないんだ!」

違う、違う、そうじゃ、そうじゃない。

イーリヤは確かに絶世の美女だが、それとは意味が違うと説明したくとも上手く説明できないもどかしさ。

そのじれったさにエーリックもモブ生徒達も悶える。

「その、ウェルシェは美人だけど、なんて言うか……そう、可愛いんだ!」

「でも、私は愛嬌のあるキャロルみたいに可愛くはないですわ」

「そうだけどそうじゃないんだ! どうして分かってくれないんだ!!」

だぁぁぁっと滂沱ぼうだの涙を流すエーリックに追随してモブ達の目からも滝の涙が流れる。

「どうしてと申されましても……この学園には色んなタイプの美男美女で溢れていますし」

ウェルシェとて自分がかなり美人だとの認識はある。だが、理屈重視のウェルシェには男達の萌えが分からないのだ。

そのせいで不幸にもウェルシェと男達の間に認識の齟齬そごを生じてしまっていた。

「そうだけど、そうなんだけどぉ! でもウェルシェが1番ダントツ誰よりもサイコーに美人で可愛いんだぁ!」

エーリックの魂の叫びに目をパチクリさせて驚いたウェルシェだったが、一瞬してああっと得心とくしんがいったようにポンッと手を叩いて頷いた。

「ありがとうございますエーリック様」

「はい?」

急にウェルシェが両手を頬に当てて恥ずかしそうにクネクネしだし、意味が分からずエーリックは首を傾げた。

「私をそんなに想ってくださっているのですわね」

「はい?」

「お母様が恋は盲目と仰っていましたわ。殿方は惚れれば惚れるほど贔屓ひいき目になるのだと」

「そうじゃない、そうなんだけどそうじゃないんだぁ!」

「?」

ウェルシェがキョトンとする。そのあまりの可愛さにエーリックのみならず男性陣が萌え上がった。

「「「だから、そういうとこ!」」」

腹黒だが恋愛音痴のウェルシェ……彼女がエーリックを狙い撃ちしているつもりで大半の男子生徒を撃墜していると気がつく日は永遠にこない……きっと……

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